退職金の財産分与
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財産分与をする場合、検討すべき事項として退職金があげられます。
既に支給された退職金と将来的に支給されるであろう退職金で扱いが異なります。
1 将来的に支給されるであろう退職金
この場合、退職金が財産分与の対象となるかどうかは、将来、退職金が支給される蓋然性が高いかどうかという点です。蓋然性が高い場合には退職金が財産分与の対象となります。
どのような場合に退職金が支給される蓋然性が高いかというと、定年退職の時期が迫っている場合には蓋然性が高いと判断されやすいです。また、定年退職の時期が迫っているとはいえない場合であっても、公務員は勤務先(=国や県や市)が倒産することは想定しにくいため、蓋然性が高いといえるかもしれません。
次に、退職金が財産分与の対象になるとして、全額が対象になるかという問題があります。財産分与は、夫婦が互いに貢献し合って得た収入を配分しましょうという制度ですので、貢献のない部分は財産分与の対象となりません。退職金の例でいうと、勤務年数が30年、婚姻期間が25年という場合には、夫婦が貢献し合っているのは全体の6分の5(25/30年)なので、退職金の約83%が財産分与の対象ということになります。
また、分配の方法については、他の財産分与の対象となる財産と合算して総額を算出し、差額を調整する方法が一般的です。その他には、他の財産とは切り離して、具体的に退職金が支給されたときにその一部を分与するという裁判例もあります。
2 既に支給された退職金
この場合、退職金は実際に支給されていますので蓋然性というのは問題となりません。既に支給された退職金は、銀行口座に入れて管理している方が大半だと思いますので、基本的には銀行口座の預金残高をみればよいと思います。
ただし、前述のとおり勤務年数と婚姻期間に応じて、一部が特有財産であると主張することを忘れないようにしてください。
取手駅前法律事務所
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